NED KELLY「ケリー・ザ・ギャング(NED KELLY)」 2005-07-03オーストラリアに実在した伝説のアウトロー、ネッド・ケリーの生涯を、 ヒース・レジャー主演で描かれた作品。 アイルランドから犯罪者としてオーストラリアに流されてきた父を持つ、ネッド。 幼い頃、溺れかけた子供を助けて表彰されたことを誇りに、 まっとうに生きていたにも関わらず、ある日、無実の罪で投獄されてしまう。 刑期を終え、家族の待つ家に帰り、真面目に働いて日々を過ごしていたが、 警察の偏見に満ちた嫌がらせを受け、その時から友人のジョー(オーランド・ブルーム) スティーブ、弟ダンの4人でアウトローな生活に陥ってしまう・・・。 ネッド達がしてきた行いは確かに法律に反する事ばかりだし、 自分達が生き延びるために、時には人を殺してしまうこともあった。 それでも彼らには、人間らしい弱さや苦悩、筋の通った考えがあった。 悪人と言うより、時代の犠牲者と言う方がふさわしいのだろう。 数々の犯罪を犯し、指名手配されてもなお、人々の喝采を浴びるほどのカリスマ性もあった。 何といっても、当時のネッドは、まだ二十歳そこそこの若さだったのだから。 大人になったばかりの青年。 その辺りが、なんともせつないではないか。 ちなみに、最後はネッドだけが生き残って捕まったのだが 刑に処されたのはなんと25歳という若さだった。 最後の警察との闘いのシーンは見物だ。 彼らの周到な計画がおじゃんになり、そのために住民からも犠牲者が出てしまう。 罪のない住民が居ると知っていても、乱射をやめない警察への憤りと怒り。 そんな風にしてしまった自分への罪の意識が、見ているこちらにも痛かった。 悲しかった。 あの鉄の鎧を着けて立ち向かっていく姿は、どこかコミカルだが、 たまらなくやるせない気持ちになったよ。 主演のヒース・レジャー、まだまだ演技が素晴らしいとは言えないけど、 これからがとっても楽しみな役者だと思う。 顔つきも美形と言うほどではないが、凛とした美しさがあるし、 どんな役でもこなせそうなキャラだし。ファンになったよ。 ますます演技に磨きをかけて、いい映画に出演して欲しいなぁ。 共演のオーランドもカッコよかった。 ナオミ・ワッツは出番も少なかったし、これまた華を添えただけ~? と言う印象はぬぐえなかったが。 とにかく、ネッドの伝説というのがすごく面白そうだし、 奥が深そうだし、出来ればいつか、原作本も読んでみたいなぁと思わせた。 映画としての出来は、完璧とは言えないがまぁまぁ上手く出来ているし、 最後まで飽きさせないし、映像も綺麗だし、一見の価値はある映画だろう。 私的な好みもあるが、★★★★☆ぐらいはあげたい。 余談になるが、このネッド・ケリーの伝説は、 この映画以前にも2度も映画化されているらしい。 一度目は確か1906年辺りのモノクロ・サイレントムービーだが、 実際にネッドが亡くなってから、まだ20年ほどしか経っていない この時代に映画化されると言うことだけで、 いかに彼のカリスマ性が高かったかを思い知らされる。 2度目の映画化は1970年で、なんとあのミック・ジャガーがネッドを演じている。 ボーナス映像でその映画の様子がちらっと観れたのだが、 ミック(当時27歳)の若々しくて可愛らしいこと! 多分、本人楽しんで演じていたのだろうが、 正直、ネッド・ケリーという様なイメージではなかったわ。(笑) でも、チャンスがあったら観てみたいなぁ・・・。 |